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まつり

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大井競馬場・川崎競馬場で営業

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今江戸っ子の気風の良さが予想にも【まつり】左手重行

インタビュアー【野中香良】――組合一の男前だとお聞きしました。

 

まつり【左手重行】……よせやい。男にそんなことを言われても喜べないよ!

 

――それはそうですよね(笑)。ただ、予想も男前だというお話です。

 

……予想が男前かどうかは自分では分からないけど、元々は自分も馬券好きだったし、ファンの気持ちはよく理解しているつもりだよ。今は3連単がどうしても中心になってしまうし、それを求められるのも理解できるけど、50点も60点も買わせちゃいけない。場立ちをやっている際は、お客さんに馬連、馬単でしっかりと仕留めるように教えているよ。ただ、どうしても3連単を買いたければ◎○を1、2着にした本線だけ買いなさいとは言っているけどね。

 

――確かに、3連単で高配当を獲りたいとは誰もが思っているはずですけど、買い切れないんですよね。そういった意味では先生のように教えてくれるのは助かりますよね。

 

……もちろん、大井の16頭立てともなると、絞り切れないレースがあるのも事実だし、どうやっても買い辛い馬がイキナリ激走することもある。ただ、人によって競馬の目的が違うだろう。娯楽としてやっているのか儲けたいためにやっているのか。また、競馬を長く続けたいのなら、無理は禁物だよ。

 

――そんな先生が予想でポイントとされるのはどの辺りでしょうか。

 

……感性だね。

 

――感性!、つまり勘というかなんというか……。

 

……大概はあなたのような反応をするんだけど、勘違いして欲しくないんだよな。レースの予習、復習は予想士なら当たり前。どこを通っていたとか、馬場の有利不利なんていうのは誰もが把握しているもの。その上で重要なのは感性なんだよ。センスと置き換えてもいいかも知れない。

 誰もが経験あると思うけど、狙っている(いた)馬がいたりするもの。狙っている馬というのは、何かしら自分が評価できると思っていた馬な訳だよ。つまり、自分が評価していた馬が1、2度凡走しても、しっかりと最後まで狙えるかどうか。別に狙い馬をのべつ幕無しに買えっていっているんじゃないよ。内回りコースで買おうとか、距離を短くしてきたらとか、乗り替わったらとか条件は必ずあるはず。

 当然、予想士は配当面も気にしなければならないからね。ガチガチの1倍台の馬ばっかり予想していたら、誰も寄り付かないでしょう。もちろん、堅いといんだったらそれを貫くのも重要。配当や狙い馬の状況などトータル的なことを考えて、予想を打てるか。それは予想士個人の“感性”で大きく異なるだよね。 。

 

――なるほど~~。競馬で感性を磨くためにはどのようにすればいいのでしょうか。

 

……やっぱり、レースを多く見ることじゃないかな。生活上の大概なことや自分の携帯電話の番号は覚えられないけど、レースのことはよく覚えていると思っているよ。この商売、記憶力は絶対に必要だし、現場で見た感覚を予想に活かせるかというのは気にしているよね。普通の競馬ファンは競馬漬けの毎日という訳にもいかないだろうから、馬券を買おうと思ったり、たまに競馬場へ行こうと思う際は、馬柱に掲載されている5走程度はチェックしてみるといいよ。そうすると、馬の好走凡走のリズムなどが分かったりすることもある。後は手前味噌だけど、俺らのような予想士を活用して欲しいよね。JRAとは違って、南関は予想士がいる。予想士は誰もが基本的な予想のツボは押さえているから。後はお好みで(笑)。

 あ、あと言い忘れたけど、予想する際に専門紙やスポーツ紙に印は見ないようにすることだね。試しに隠して予想してみるといいよ。どうしても印に予想が左右されてしまうからね。馬柱だけを純粋に検討して、新聞の印と似るとかほぼ同じということは多々ある。だけど、稀に「あれ、これなんでこんなに印が薄いんだ」というレースに巡り合うことも。そうやって競馬に対する感性を鍛えていってほしいね。

 

――その域まで行くのは時間が掛かりそうですが、先生は予想士歴も長いんですか。

 

……予想士になってからは約30年間かな。助手時代を含めると40年ほどこの商売に携わっていることになるね。助手は長い方で10年やりました。昔だから師匠から予想を習うとうよりは技術を盗めって感じさ。元々、兄貴の友達の紹介でこの業界に入ったんだよ。馬券が好きだったこともあるし天職だと思うけど大変な商売!

 ベテラン予想士なら誰もが経験していると思うけど、予想士は予想が当たれば神様みたいになるときもあるけど、ハズレてしまうと殺し屋になってしまうこともゼロではないからね。

 

――殺し屋ですか……。確かに昔は厚く張っていたファンもいましたよね。

 

……予想が当たるのはもちろん嬉しいんだけど、お客さんが儲かるのが一番だよね。そこで感謝されるのがこの仕事の喜び。大きく儲かったお客さんが忘れた頃にやってきてお礼を言ってくれるときもある。大儲けして7~8年経ってから久々に来てくれたお客さんもいたよね。もっと早く来いっていうの(笑)。冗談はともかく、お客さんが喜んだり楽しんだりして帰ってもらうのが一番。

 ところが、知らないところでご迷惑をかけていることもあるのは間違いないからね。大儲けした人がいれば、必ず大損した人もいるはず。流行りの言葉でいえば、ギャンブルはもちろん自己責任なんだろうけど、人様の人生を左右しかねない商売ではあるんだよ。そういった意味で殺し屋にもなっちゃう商売って訳さ。

 

――普段は明るい感じで何気なく予想をされている姿しか拝見していませんでしたが、予想士さんとしての宿命を重く受け止められているんですね。

 

……幸い今のお客さんや常連さんは、長い付き合いの方も少なくないし、無茶なことをしないから助かるけどね。そういった意味で、穴党も本命党もないな。とにかく目の前のレースを当てたい、そして当て続けたいというのが本音。

 また、意外と予想でガチガチだと思っても、それをしっかりと予想として提示するのは勇気がいるんだよ。「新聞見れば分かる」とか露骨に顔へ出ていることもあるし、穴は穴で「そんな馬来るか」って怪訝な顔をされるから。だけど、お客さんの反応でぶれてちゃいけない。堅いと思うときは堅い、穴を狙う時は誰がなんと言おうと自分のポリシーを貫けるようにならなきゃいけないんじゃないかな。もちろん、あまり堅過ぎる予想ばかりではないけど。

 

――確かに予想士さんのそういった雰囲気や予想を見極めるのも感性ですよね。

 

……だから、お客さんはよく知っている。「こういう時は先生当たるんですよ」とか言われることもあるよ(笑)。ただ、本紙予想は勝負マークをまずは見て欲しいね。勝負マークのついているレースに注目して貰って、後は場立ちを聞いて欲しいね。馬券の基本は馬連か馬単。単で行けるか連なのかは馬のキャラクターにもよるけどな。

 

――場立ちの楽しみは予想を見ながら解説が聞けるってところですよね。「何故、本命を打ったのか、勝負レースなのか」というのは口上を聞いてみないと。

 

……だから、俺はパソコン作業とかできないし、文章を書くのも得意じゃないからどうしてもレースのポイントは1行になってしまう(苦笑)。だけど、どうして本命を打っているのかというのも一緒に考えて貰うと、感性は磨かれると思うよ。俺の予想に近くなっちゃうかも知れないけど(笑)。ただ、こちらも伊達に長年予想士やっていないからね!

――屋号の「まつり」というのはもちろん、お祭り騒ぎのように盛り上がるというところに由来しているという。向島(江東区)出身のちゃきちゃきの江戸っ子である左手の予想と口上は常にシンプルだが、競馬ファンを未だ経験したことのない饗宴に連れて行ってくれることだろう。

 

インタビュアー【野中香良氏】――主に競馬を専門とするライター。大手生産牧場の戦略意図が分かれば必然的に馬券は当たりまくる! (競馬王馬券攻略本シリーズ) 、馬券しくじり先生の超穴授業 (競馬ベスト新書) 等の著者でもある。

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