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マーサ

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大井競馬場・川崎競馬場・浦和競馬場で営業

次回販売
2024年11月22日(金)
浦和  5日目

プロフィール

3連単12点で大穴ゲットも珍しくない【マーサ】鈴木晶信

インタビュアー【野中香良】――南関四場全てで馬立ちを行っているのが「マーサ」の屋号で根強いファンを獲得している鈴木晶信だ。場立ちというと元気印の講談や漫談に近いイメージを持つファンの方もいることだろう。しかし、鈴木は淡々と台周囲のお客さんに語り掛けるタイプだ。

 

マーサ【鈴木晶信】……場立ちというと「ゲートイン」の吉冨さんのように華やかな方が良いのかもしれないですが、それは私のスタイルではないんですね(笑)。何となく常連のお客様しかいないように映るかもしれませんが、お気軽に聞いていただければ的確にアドバイスする自信は持っていますよ。

 

――南関四場全てで場立ちをされているとお聞きしています。生活のリズムも大変じゃないですか?

 

……慣れたところもありますよ。弟子時代はもっときつかった。弟子時代は親方の下仕事をしたうえで、自分の分の馬柱や予想材料の準備も行っていましたからね。浦和から船橋とか、季節の変わり目(1月、4月)とかはしんどいと思うことももちろんありますが。四場全てで場立ちをしている予想士は限られているのでその強味を発揮したいと思っています。

 やっぱり、VTRで見ているのと本場で見ているのとでは違うんですね。現場にいるとしっかりとしたイメージを持つこともできるし、VTRに映っていないところで気付くことも少なくありません。まぁ、分からない要素とかを排除していく、不安要素を減らすには四場全てで場立ちをすることはプラスのはずだと考えています。それでも芯を食わないところもあるのが競馬ですけどね。

 

――鈴木の新聞はカラフルにマークされている。レースの合間にもその場で位置取りをマークしているほどだ。

 

……馬柱には同じレースに出ていた馬をマークしたり、四場のパドックで馬装具などを書き込みます。余白の部分にはレース中に位置取りをマークするんですね。そうすると、見えてくること、気付くことが必ず出てきます。また、レース中は全部をマークできる訳じゃないので、家に帰ってから見直すという繰り返しです。現場で得たイメージなり感触と復習で落差がないかというのが予想のベース。下調べしないと確信を持って予想を的中させることはできないと思っています。

 

――先生は3連単12点というのが売りだとお聞きしました。

 

……1日12レースだとして1レース12点だと1万4400円。そこに本紙代が1000円、競馬場までの交通費を入れると1万6000~2万円位でしょうか。「大荒れだ、軸が見えた~」というレースがあって、手を広げるだけ広げる価値があるというレースもなくはないのですが、基本はお客さんに無理をして欲しくはありません。馬連にするかとか馬単を買うとかはお客さんの都合もあると思うのですが、3連単12点なら1日1本万馬券が的中すれば最悪でもチャラか少しのマイナス。2本当たれば確実にプラスになるでしょう。そういった意味で3連単は少点数で当てることが重要だと思っています。

 

――なるほど。それは心強いですよね。競馬って点数を広げても勝てる訳ではないし、先生のように絞ってくれると助かります。

 

……3連単12点というと本命サイドを狙っているのかということを思われるかもしれませんが、基本は穴党です。予想士たるもの、本命サイドも穴馬券もバンバン当てていくというのはもちろん重要。ただ、やはり荒れたレースでこそ、当てるのを理想としています。目指すのは馬単なら10万馬券!ですね。

 

――12点でデカイ配当を獲るのは、正直言って大変そうですよね……。

 

……ただ、裏を返せばなんですが、本命レースが多くても当て続けるのも大変なんですよ。しかも、本命サイドでも堅い配当が連発なら儲けにくい。8頭立て(やそれ以下の頭数)ばかりみたいな日だって、1~3番人気馬が順番通りに来ることは多くはないでしょう。いかに穴を獲るか、見落とされている馬はいないのかというのは常に心掛けるようにしていますね。

 ただ、どうしても現場派なので、本紙の予想と直前の決断では変わることもありますね。だからといって前日予想はいい加減に作っている訳じゃないんです。あくまでも、前日までに勝負になるという馬を中心にピックアップしています。もちろん、パドックや馬場状態で変わることもあるんですが、気のない馬が本命に昇格することはまずありません。今日の展開や馬場ならヒモは入れ替えようとかがある程度です。

 

――過去には2日続けて3連単50万馬券、20万馬券が的中したこともあったとか。

 

……さすがにテンション上がりましたよね。台に戻ってきて思わず大きな声が出ました(笑)。ただ、あくまでもそれは過去の栄光。予想士なら誰にもあるエピソードのひとつしかないでしょう。

 

――なるほどですね。鈴木先生でも大声を出すことがあるっていうのが衝撃でした。先生は現場にいてもさまざまな要素を気にされていますよね。

 

……例えば、ナイター開催といっても、1Rの開始は14時とか15時。太陽も出ている時間帯です。18時とか夏場なら18時30分になって照明がついたりすると、また、傾向が変わってくることも珍しくありません。

 

――そんな細かいこともチェックされているんですね。

 

……今はそれほどJRAの競馬をチェックしていないんだけど、有名騎手が敗因で「西日が眩しかった」と言ったことがありましたよね? 当然、ナイターで証明が点く前と点いた後では結果に違いがあっても不思議はないと思うんです。サラブレッドは慣れれば問題にしないということもありますが、初ナイターで暴れたり力を出せなかったりすることは少なくないんですよ。  しかも、大井なら内回り、外回りの違いもあります。位置取りのことまで考えたりすると、逃げがいいのか、それともインを回る先行馬がいいのか、外を回る先行馬がいいのか、差しといっても外回りの差しでインが利くのか、それとも外ばかり差しなのかというようにパターンは豊富ですよね。

 

――競馬って改めていろいろな視点があるんだなーということを教えて頂いた気がします。

 

……この辺りは本当に難しいですよね。ただ、先ほども言いましたが、予想をしていく上での不安を消していきたい。お客さんの前で納得のいく予想を提供したいというのはありますよね。そのためには気になった材料は調べておく。その中で本命馬が消えそうなレースで、穴馬が浮かび上がってきたときは気合いも入ってきます(笑)。

 

――熱い心は持ちつつも冷静に予想を組み立てるってことですよね。

 

……お客さんが馬券を買っているうちに熱くなってきますからね。ハズレが続くと申し訳ない気持ちにももちろんなります。ただ、それでも冷静な目で予想を伝えていかないといけないと思うんですよ。人間だからブレたり心が揺らぐこともあります。ただ、予想士は皆さんに的中を届けるためには、“冷静に”ということを心掛けているんですよ(笑)。

 

――鈴木は淡々と台周囲のお客さんに語り掛けるタイプと冒頭で書いたが、レースのオンオフ、的中、不的中に一喜一憂せず、目の前のレースを攻略していこうと姿勢が、冷静に映っているだけなのかもしれない。

 

インタビュアー【野中香良氏】――主に競馬を専門とするライター。大手生産牧場の戦略意図が分かれば必然的に馬券は当たりまくる! (競馬王馬券攻略本シリーズ) 、馬券しくじり先生の超穴授業 (競馬ベスト新書) 等の著者でもある。

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