テイク
大井競馬場・浦和競馬場で営業
プロフィール
今一番注目の穴党予想士!【テイク】長澤隆之
インタビュアー【野中香良】――予想士のスタイルは千差万別だが徹底的な穴狙いで急激に知名度がアップしている【テイク】の屋号で浦和、船橋で営業する長澤隆之だ。長澤の穴狙い振りは師匠である【トップ】藤田徹氏直伝のものであるという。
テイク【長澤隆之】……縁あって【トップ】の藤田徹さんに拾って頂きました。最初は違う予想士の方の門を叩いたのですが、私が挫折してしまいました。そこを面倒みて頂いたのが師匠の藤田さんです。師匠からはいろいろと教わりましたが、1番最初の目に1、2番人気の2頭の組み合わせを書くなというのは今でも守っている教えのひとつですね。
――意識して穴を狙えというのが教えなのでしょうか。
……予想としては堅いと思うときも、もちろんあります。人気が読み切れなくて結果として人気ばかりの目を書いてしまうことはあるでしょう。もちろん、堅いレースは堅いのですが、どのレースも必ず1、2頭は可能性を秘めた馬がいるもの。
お客様はもちろん、的中を求めていると思いますが、馬連で200円程度の配当では満足しないはず。大体、堅いと思っていても何かにやられるのが競馬ですからね。となると、当たる目というよりは、儲かる目を書いた方がいいというのが師匠の教えでもあります。お客様に儲けて頂いてこそ、我々のような立場の人間の価値もあるというものでしょう。
――とはいえ、穴狙いって的中率が必然的に下がってしまって、当たらないというイメージを植え付けかねませんか?
……独立してから7~8年、修行時代を含めると15年強となりますが、ただ当てても儲からないというのをポリシーにしていますし、そもそも、予想士の中では最も独立した年月日の若い私が諸先輩と戦っていくためにも特徴を出さないといけないと考えています。
ファンの方もいろいろなニーズがあると思うんですよ。堅い馬券は堅く、荒れたレースは荒れ目をというように柔軟に対応してくれという方も少なくないでしょう。しかし、野球でいうところのイチロー選手のようにはいかないのが競馬。だったら、少しでもお客様に儲けて頂くにはという観点で予想を組み立てています。
――極端に穴を狙うことでも有名な長澤さんですが、穴狙いの極意はあるのでしょうか。
……そんな大層なものはありませんよ(笑)。重視するのは馬場、枠、クラス、展開ですね。この辺りは予想士であれば誰もが頭に入れていることではないでしょうか。ただ、どうしても着順に影響されることは多いと思うので、そこに穴党ならではの付け入る隙があると思っています。
――穴党ならではの付け入る隙ですか!
……前走着順が4、5着の馬と惨敗している馬が2頭いるとして、恐らく人気は前者でしょう。しかし、その着順の取り方が重要なんですよね。後方からチンタラと進んで拾っての4、5着だったのか、それとも競り合いを辞さずにガンガンやりあっての惨敗なのか。
お金になるのはそういった勝ちに行ったり、自分の競馬を貫こうとして惨敗した馬たちなんですよね。
――なるほど、その辺りの状況は競馬新聞だけでは分からないですね。
……ほかにも馬場の傾向、通った場所、騎手の動向などさまざまなファクターを検討しなければならないのが競馬の予想です。●●騎手が乗るからインを突くなとか、この開催の▽▽騎手だと外を回るなとか、馬の特徴などを加味して、しっかりとレースの予想が組み立てられるのかというのが重要だと思っています。
南関はほぼ平日毎日レースが行われています。普通のファンの方ではなかなかすべてのレースを追うことはできないでしょう。しかも、同じ開催であっても大井なんて初日と2日目で馬場が違うってことも少なくありません。その予想の一助になるのが我々の役目だと思っていますし、当然、皆さんが気付かない(気付きにくいだろう)馬を提供できればと思っています。
――そうなると、毎日競馬漬けですね(笑)。
……土日が休みなんてよく言われるし、好きな競馬の予想で飯が食えるなんてって羨ましがられますが(苦笑)、レースが行われている間は場立ち(競馬場での営業時間)をしていますし、準備(予想を作る)時間だけで6~8時間は掛かるんですよ! ただ、この作業を止めてしまうと穴馬は見えてきません。土日だって、金曜日までの復習をする時間もありますからね。
――どの予想士さんも仰ってましたが、睡眠不足気味だとか。
……1年中競馬漬けですからね。ただ、慣れてくると自分なりの予想ポイントとか仕事の仕方も決まってきますし、お客様には裏の努力は関係ないので、いかに【テイク】の予想は面白いとか儲かるとか言って貰えると、疲れやストレスも吹っ飛んでしまうんですよね。
――予想して終わりという訳ではないですもんね。場立ちして解説している時間も考えると重労働ですよね(苦笑)。
……場立ちの際に、既に製作してある本紙予想とはよほどのことがない限り、変更はしません。前日予想の段階で、時間をかけて本命馬を選んでいる自負はあります。確かに、パドックで馬装具を変更してくることもあり、勝負駆けかなということもあるんですが、私の場合、本場営業は浦和と船橋、場外営業は浦和なので、4場全てのパドックを生では見られないということもあります。
――そこは師匠の藤田さんとは違うところなんですね。既にお話を頂いているかもしれませんが、本紙を製作する上でのポイントとか、お客様にここを注意してみて欲しいというところがあれば教えてください。
……まず、コメントは目を通して欲しいと思います。アナログな人間なので、本誌は手書きですが、必ずレースのポイントを書いています。波乱がありそうなレースには穴印を打っていますので、穴党の方はそのレースを見てください。
また、これは本当は不本意なところもあるのですが、お客様からはタテ目にも注目した方がいいと言われることもありますね。
――タテ目ですか?
……タテ目をそのまま買えというのではなく、相手馬の1、2頭目の人気にも注目だと。私の場合、軸も穴、相手も穴馬ということが珍しくありません。その際は、どちらかが来る確率が高いんだけど、ヒモは抜けたりしているとかがあるようです。確かに、本命も穴、相手も穴馬というレースは、絶対に荒れるという結論が自分の中では出ているレースなので(笑)、そういうことも起きるのかも知れませんね。
――お客様も熱心に見られていますね……。
長澤……シビアといえばシビアなのかも知れませんが、好きで選んだ仕事ですし、穴馬券が飛び出した際に、【テイク】長澤の予想だったら当たっていたんではないかと気にして貰えたら最高ですよね。少なくとも穴馬券が飛び出た際に、飛んだ1番人気に本命を打つような後悔はしたくないと思っています。
元々、地方競馬が大好きで通い詰めるうちに、予想士としての職を得ることができました。自分でも穴党を名乗っているし、お客様の期待に応えられるような予想士を目指しています。「俺なら獲れる!」ということを目指して日々精進していきますので、穴党の方や穴党の方ではなくても刺激が欲しいという方は、一度、私の予想に目を通して頂ければ幸いです。目の前のレースに一喜一憂することなく、少しでも皆さんの競馬ライフに役立つことができればなと思っています。
――19年8月1日大井11Rアフター5スター賞トライアルでは10番人気で1着のレベルスリーに○、6番人気で2着のミスターバッハが◎、1番人気で3着のタマノシュタルクに注という印で3連単35万馬券をズバリと決めている【テイク】長澤。誰もが度肝を抜く穴馬券を今後も当ててくれることだろう。
インタビュアー【野中香良氏】――主に競馬を専門とするライター。大手生産牧場の戦略意図が分かれば必然的に馬券は当たりまくる! (競馬王馬券攻略本シリーズ) 、馬券しくじり先生の超穴授業 (競馬ベスト新書) 等の著者でもある。