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パドックは2回見る!現場を重視する予想士【ザ・トップ】藤田徹

インタビュアー――南関の場立ち予想士は1日全てのレースの狙い馬や買い目などを書いた本紙を販売している(1日分1000円、各予想士共通)。言うなれば事前の見立てに当たるもの。ところが競馬は生き物であるサラブレッドが走る。当然、直前の気配で要る要らないが分かることも少なくないという。ザ・トップの藤田は現場派予想士の代表格ともいえる人物だ。

 

ザ・トップ……確かに、今はネットやコンビニプリントでも本紙を販売しているので、直前の気配で予想を変えるということに対してさまざまな意見があるのは分かっていますよ。ただ、私は最後の最後にギリギリまで粘って予想を渡すことにしています。地方競馬はローテーションが詰まっている馬も多いし、仕上げ方がJRAとは違うということはまずお客様にも理解して欲しい。また、直前で予想を変える可能性があるからといって、本紙がいい加減なものという訳じゃないんです。本紙を作るに辺り何時間も下調べをしています。当然、本紙の予想通りに買ってもらっても成績を残す自信はありますよ。

 

――藤田は最後の最後まで粘るというように、締め切り5分前の合図ギリギリに予想を渡すことも少なくないという。

……時間が掛かる理由といわれると、パドックを2回チェックするからでしょうね。まず、最初に馬が出てきたときに全馬のパドックをチェック。馬装具や蹄鉄、当然、状態面まで細部に渡って観察します。

 その後は1度、台に戻ってお客さんに説明をして、2度目のパドックチェックは騎手が出てきた際というもの。大体、騎手が出てくるのが締め切り15分前なので、そこから台に戻った時点で10分前という状況。オッズなどを確認すると、予想を渡すのは自然と5分前位になってしまいますね。

 

――そこまでギリギリに拘る理由を教えてください。

 

……理由というほどのものではないんですよ。騎手が乗った際にチェックをすることで、より予想の精度が高まるという手応えを感じていますからね。予想を変更するからといって、全く能力のない馬に打つ訳ではないんです。ベースは本紙で作ってきた予想にあるのは変わりません。ただ、必要以上に調子が悪かったり、全くの人気薄なのに勝負気配を感じる馬というのが出てくるのは事実です。

 

――一流料理人ともなると、その日の気温や湿度で、同じ料理でも味付けを濃くしたり薄くしたりすることがあるという。藤田氏のパドックチェックは料理でいうところの最終仕上げの段階なのだ。

 

……そこまでオーバーなものかは分からないけど(苦笑)、最後の最後の決断はパドックを見ないとできないというのは間違いありません。なので、是非とも最初に行っておきたいのは、馬券で儲けたいのなら本場に来て欲しいということですね。

――今はネットで馬券を買う人が少なくないですもんね。

 

……誤解のないように繰り返しておくけど、事前に提供している予想に自負はあります。ただ、どうしても最後の最後で現場で予想が変わる場合もあるのは理解して欲しいですね。逆にいえば、現場まで足を運んでくれるお客さんに対してのサービスでもあります。予想士はお客さんに儲けて貰ってナンボだと思っていますので。

 

――そもそも、藤田さんが予想士になったのは、大勝負がきっかけだったとか?

 

……この時代だから金額は伏せて欲しいけど(笑)、手元の数十万円が1レース目で的中し相当な金額になりました。2レース目に全てを突っ込んで莫大な金額にしようと馬券を購入。当時は枠連時代だったので、この金額を入れるとオッズが下がるというところまで計算したんですけどね。

 結果は当たっていれば予想士はやっていなかったんじゃないかな(笑)。決まったと思ったところに、買っていなかった馬に突っ込まれてハナ差だがクビ差だが負けてしまいました。

 

――壮絶な勝負だったんですね……。

 

……当然、馬券を買っている間も足は震えていましたよ。当時は馬券の発券に時間が掛かっていた時代。側にいた職員総出で金は勘定しているし、その分の馬券を打ちだしているし……。レースが終わった直後のことは茫然としていてよく覚えていないところもあります。ただ、負けてしまったものはしょうがない。そこで気を落ち着けようと立会川で飲んでいたところ、たまたま予想士さんの集団に遭遇したんですよ。

 馬券を見せたら、「そんなに競馬に自信があって勝負できるんだったら、予想士にでもならないか」って誘われたのがこの世界に入るきっかけです。

 

――藤田が最後の最後まで粘ってギリギリまで決断するというのは、この時の出来事が影響していることも少なくないだろう。現場で顔を合わせるお客さんには馬券を買う以上、儲けて欲しいという思いからだ。

 

……助手は6年位でしたかね。親方には自分で予想を出させて欲しいと懇願しました。自分でいうのもなんですが当時から穴予想でしたね。最初は食えないときもあったので潮時かなと思ったこともありましたが、独立してすぐの頃に7000円台と1万円いくらかの枠連予想を連発して当てました。その時に馬券を獲った方が相当なご祝儀をくれましたよ(笑)。しかも、それから食えるようになったし、お客さんが儲けるにはやっぱり穴馬券しかないなとより追求するようになったのです。

もちろん、ネットやコンビニで購入していただく予想自体はベースとして納得のいくものを出しています。能力のない馬がいくら馬装具をよくしたからといって、勝てる訳じゃないですからね。

 予想をする上では時計をまず重視します。馬場や展開などの有利不利も含めて検討していくと、そのレースで勝負になる馬は限られてくるもの。後は過去の馬装具を新聞に書き込み、最後の決断に備えるというのが、かなり単純化したプロセスです。

 

――本紙を製作するに辺り、気を付けているのは他にもあるとか。

 

……どうしても堅いレースというのが存在しているのは確かですが、1点目に1、2番人気の馬連となるような目は書かないようにしています。馬券というのは人気馬にドンとぶち込んでも仕方がありません。枠連しかないような時代であれば、本命サイドの馬券に突っ込むという方法しかなかったのかもしれませんが、今は3連単もあります。当然、お客さんの質も変化しているでしょう。100円玉1枚が10万円や20万円に一撃で化けるような馬券を買った方がリスクは少ないのでは。

 

――確かに藤田さんに期待される予想って穴予想ですもんね。やはり、その辺りはお弟子さんにも引き継がれているのでしょうか。

 

……チャンプ(今村)、マーサ(鈴木晶信)、テイク(長澤隆之)の3人が弟子から独立しました。残念ながらチャンプの今村君は体調を崩して廃業してしまったけれど、マーサやテイクの2人には自分なりの道を見つけて貰えればと思っています。ただ、結果や予想を聞いてみると、2人とも穴予想ですよね(笑)。

 穴予想って実は時間が掛かるんですよ。人気薄が走るとノーマークの馬を引っ掛けたとかたまたま走っただけという認識のファンの人も少なくないんですが、我々、予想士の穴馬は根拠がしっかりしているもの。たまたま当たるのとは訳が違うんですよね。狙って獲れる穴馬券があるということを知って貰いたいとは思いますね。

――南関四場全てで場立ちをしている藤田。日本で一番、パドックを見ている予想士といってもいいかもしれない。事前の予想だけではなくライブ予想も藤田の強みでもある。「最後のヒントはパドックにある」という藤田の場立ちも是非競馬場で体験してみて欲しい。

 

インタビュアー【野中香良氏】――主に競馬を専門とするライター。大手生産牧場の戦略意図が分かれば必然的に馬券は当たりまくる! (競馬王馬券攻略本シリーズ) 、馬券しくじり先生の超穴授業 (競馬ベスト新書) 等の著者でもある。

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